必要

人が何かを求める時、そこには必要性が働いているのだと思います。
お腹が減った
喉が渇いた
眠い
体の欲求は僕たちに行動を促し、必要を満たすように要求してきます。
赤ん坊はほとんど全てそれらを他人に、主に母親に依存しなければ生きて行くことが出来ないですよね。
動物の赤ちゃんと違って、生まれてすぐに立ち歩くことなんて出来ません。
ある動物が生まれてすぐに歩けなきゃいけないのは、他の動物に狙われてしまう危険性があるから、という必要性があるからで、
人間の赤ちゃんの場合、体と心が発達して行くのに長い長い時間を必要とします。
たくさんの愛情とたくさんの人の手を。
よく、一人の子供を育てるのには村一つ必要と言ったりするが、本当にそうだと思います。
もちろん、母親の愛情をたっぷり受けて育つのがまず大切だろうけど、赤ちゃんから子供に、子供から青年を経て大人になるのには、
たくさんの人達との出会いや交流が必要なのは言うまでもない事と思います。
社会の中で、ある役割を担い、責任を持ち活動して行く。
家庭のなかでも役割を演じ、父や母になっていく。
知り合いを見ていてもやはり、なっていくものなんだと思います。
突然、生まれたから父や母になるのではなく、毎日毎日子供の世話をして、育てて行く中で変わっていくのだと。
そう考えると、母親の妊娠の期間というのは、お腹の中で赤ちゃんが成長して行く期間でもあるが、母親が、母親になる気持ちの準備をする期間でもあるのかなと思います。
10ヶ月もの間、別の命をお腹の中に宿し、共に生きているっていう状態は一体どんな感覚なんでしょうか。ちょっと想像もつかないですが、
神秘、という言葉がぴったりな気がします。
自分たちをゆうに超えている。
子供は天からの授かり物だ、と言いますが、本当にその通りですよね。
だからこそ、大切で、誰かのものでもないんですよね。
その一人の子供は、その子の人生はその子のものなんですよね。
だけど、生まれたからには育てなきゃいけない。
可愛い時期を過ぎても、親の言うことを聞かなくても、育てなきゃいけない。
子育て、一人の人間を育てるなんて、最も大変な仕事じゃないですか、とある作家が言っていました。
きっと、何度も諦めそうになりながらも、皆さん子育てされているんじゃないかと思います。
特に、周りに助けがない状況での子育ては本当に辛いんじゃないかと思います。
人間の全ての努力は孤立を避けるためにあると言っても過言ではないと思う、とある先生が言っていましたが、
言葉も通じない、自分の事は何一つ出来ない赤ちゃんと24時間一緒にいて、そしてその大変さを共有する知り合いもいない、
愚痴を言える相手もいない、社会の中でその母親と赤ん坊と二人っきり、ちょっと公園に出る事も、母親の友達もいない、という状況に置かれたとしたら、
それこそ気でも狂ってしまうんじゃないかと思う位辛いんじゃないかと思います。
ニュースでよく目にする幼児虐待などのニュースも、社会のなかでそんな状況に置かれてしまった母親も赤ん坊も、どちらも犠牲者なんじゃないかと思います。
どうする事も出来なくなってしまったんじゃないでしょうか。
孤独は、時に人間の成長に必要だと思いますが、孤立は、人間を苦しくさせてしまう気がします。
空気はあるのに息が出来ないような、そんな状況に置かれている人が、平和そうに見えるこの日本の中で実はたくさんいらっしゃるんじゃないかと思います。
学校の教室の中でも、会社の同じ部屋の中でも、昼間のアパートの中にも。
あるいは、インターネットの中にも孤立を避けようと迷い込む人もいるでしょう。
人間は人と繋がることが必要なんだと思います。
そしてそれはもしかしたら、たった一人でもいいんです。
そして極端なことを言えば、もうこの世には生きていなくてもいいかも知れない。
本の中に、昔に生きていた人の生き様や言葉の中に、深い繋がりを見つけられるかもしれない。
あるいは、本当に優しくしてくれた祖母や祖父が支えになっている人もいるかもしれない。
ある人は誰かの歌った歌の中に、その声とメッセージに支えられているかもしれない。
でもやはり、生きているというのは大事です。
その存在は絶対です。
みんな、生きてていいからここにいるはずです。
あなたも、誰かの必要になっている、という事を忘れないで下さい。
思いがけない所で、人は人と支え合っているはずです。
目には見えなくても、人は人と影響されあい、繋がってるはずです。
ただ街を歩いてるだけでも、ただ椅子に座っているだけでもいいんです。
その姿を見るだけで心がふっと和む人もたくさんいます。
赤ちゃんは全てを母親に依存しながらも、逆に母親を支えている事もあるでしょう。
お年寄りの方の「ありがとう」の一言で、介護の疲れも吹き飛ぶ方もいると聞きます。
だから、みんなここにいてください。
あなたは誰かの必要です。

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