言葉のワクチン

インフルエンザが流行ってますね。
予防接種をしていてもかかる事があるそうなので、皆さんお気を付けて。
ですけど、予防摂取をしておくと、かかっても重症になりにくいらしいですね!

予防接種は、そのウイルスに対する免疫力をつける為に行うそうです。
病原性を弱めたウイルスや細菌を接種したり(生ワクチン)、病原性を無くしたウイルスや細菌を体内に取り入れ(不活化ワクチン)、
免疫力をつけるそうです。生ワクチンの場合、その病気に自然にかかった状態とほぼ同じ免疫力がつくそうです。
不活化ワクチンの場合、生ワクチンに比べて効果が弱いので、数回に分けて接種するそうです。
そんな話を聞いてて思ったんですけど、それって人間の心模様にも似た様な事が言えるんじゃないかなという事です。

たとえば、恋愛小説を読んで、実際は恋なんてしていないのに、
読んでるとつい引き込まれて主人公と一緒に恋してる気分になったりしますよね?
あるいは、登場人物と一緒に傷ついて、泣いたり。
ひどく感傷的な気分になったり、実際には経験していない事を、あたかも一緒に経験してるかのように感じさせる。
そしてその後には読書経験を通して成長した自分がいる。
一つ強くなってまた今日に立っている。そんな体験。

体験、と言えるような読書が出来た時は大きな喜びがありますよね。
きっと誰でも、大好きな本を心に持ってるものなんじゃないでしょうか?
小学校の時に友達の家で読んだ漫画、中学生の時、休み時間に読んだ短い小説。
高校の帰り道、電車の中で見つけた自分と同じ事を感じている主人公の話。
大人になってふと手にした文庫本。
ずっと、あなたの事を待っているような、そんな本が一冊くらいはあるんじゃないでしょうか?
もしかしたら、寝る前に話してくれたおばあちゃんの昔話がそうだ、という人もいるでしょう。

いずれにせよ、読書(予防接種)を通じて、免疫力をつけてるのかも知れません。
人間の心と心に関する免疫力。
無菌状態で外に出るにはこの世界はあまりに汚れていて、もし天使だったら、この世界の空気を一つ吸うだけで死んでしまうかも知れません。
だから本格的に外に出て行く前に、想像力の輪を広げたり、現実のあっけなさや滑稽さ、人間の醜さ、美しさなどを描いた本を読み、取り入れる事で、現実に耐えうる力を、
心の力を蓄えようと、免疫をつけている。そんな無意識的な行動。
色んな本に書いてある事がある一人の人生に全部起こってしまったら、いくつ命があっても心と体があっても足りないでしょう。
ですけど、本を読む事で、他人の話を聞く事で、自分じゃない人の体験を吸収する事が出来る、免疫をつけることが出来るんです。
現実のショックを和らげてくれるような。
あるいは、楽しみを広げてくれるとか。
本の中では世界は楽しいとか、
現実からの逃避所になってる事もあるでしょう。
言葉のワクチンを接種して、現実から身を守っているのです。

ところで、皆さんは「希望」の反対は何か?と聞かれたら、「絶望」と思い浮かべるんじゃないかと思います。
しかし、エリクソンというお医者さん(精神分析学者)によると、希望の反対は

「social withdrawal」 =「引きこもり」なのだそうです。
他人を信頼する力、自分を信じる力が育っていればいいのだそうです。
けど、それがうまくいかず、自分に、将来に、社会に希望が持てないと、人や自分を信じる力が弱いと、人は引きこもってしまうのだそうです。
現代の日本には一体どれだけの方々が、希望を持てずに過ごしているのでしょうか?
部屋の中に閉じこもり、この世界に出てくる事を拒絶しているのです。
まるで、母親の胎内から出てくる事を拒絶している胎児のように。

けれどいつか誰かが、この世界に希望というものを示せたら、部屋のドアは開くんじゃないか。
そんな気がしています。
でも、このワクチンはお金では買えません。
それは愛情で出来ているからです。
心のワクチンは、愛です。
だけどこの漢字一文字が何て難しいことでしょう。
愛をDoするのが。

それにしても、インフルエンザが流行っています。
みなさんお気をつけて。

どうか、心と体にワクチンを

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