麻雀と弟たち

弟たちが麻雀をしている。

深夜1時半。

まだまだ、朝が来るまでやるんじゃないかと思う。

やめられない程の面白さがそこにはあるんだな、きっと。

頭を使って考えなきゃ勝てないしね。

運の要素も大きい。

でも上手くなってくると、捨牌から相手がどんな手を狙っているのかとか、

自分の手の方向性を検討したりするようになってくる。

同じ牌は4つしかないから、場に3つ出ちゃってたらもう自分のとこに来る可能性は低いなぁ、とかを考えるようになる。

ルールの中で可能性を検討し、現実を見て、牌を引き、牌を捨てる。

運にも左右され、タイミングも重要になり、自分がこうしたい、っていうのと、周りの状況、自分の手牌の可能性を信じたり見切ったりして、折り合いをつけてく。

それを何回か繰り返し、点数の多さを競う。

なんだか書いてると、これじゃまるで人の成長の過程みたいだと思った。

特に若い人の。

社会の中で自分の可能性や現実と相談しながら折り合いをつけていく。

必ずしも自分がこうしたいという願いが叶うでもなく、だけど信じて一歩踏み出してみたい。

やっぱり今回は相手がすごい手だからおりる。

自分の方向性を検討する。

まあ、そんな風に置き換えて弟たちは麻雀をやってるわけではないんですけど、とにかく楽しそうだ。

末っ子の弟も、昔は負けるとすぐいじけてたのが、負けも含めて楽しめるようになっているように思える。

「俺も自分の手に目が眩んじゃったからなぁ」

「まあいいと思うよ」

「んぁー!」

「通れ!」

「そいつが、通らねぇんだなぁ!ロン!」

「うわぁー!こいつかぁ!」

と、楽しそうな声が聞こえてくる。

いつもは寡黙な男たちが不思議と麻雀をしてると会話が弾んだりする。

逆に全然喋んなくなったり。考えちゃって。

ジャラジャラと牌を混ぜる音。

あくび。

ストーブの音。

ちゃっ、と牌と牌がぶつかる音。

大きな手を狙って一発逆転を狙う人。

地道に点数を稼ぎ、無駄に点数を手放すような手は打たない人。

深くは考えないけど、感覚でいい手を掴む人。

なんだか運のいい人。

いろんな人の性格とか特徴が打ちかたに出てて面白い。

その場の流れも不思議とあって、全然ダメな時もあれば、どんどんツキが回ってくる時もある。

下手な人生ゲームより全然おもしろい。

大きな手を狙って夢を見ることもできる。

「ツモ」

「ハネマン」

「うわぁ〜。飛んだぁ〜。。」

「負けたぁ〜」

と、現実を見ることも多々ある。

だけどまたチャンスがあるから、やり直せるからやめられない。

「初めて味わうビリだ。うわぁ〜、気持ちいい〜!」

という弟の友達。

何度でもやり直せる。

それがいい。

「ロン!国士無双!」

「えっ!まじ!?」

みんなの目が丸くなった。

弟がにやりと笑って牌を開いた。

一発逆転。

サヨナラ満塁ホームランだ。

夜はもうすぐ朝になる。

弟はほとんど寝ないでバイトに行く時間だ。

笑いあって今は友達と話をしている。

「ゲームやるか」

「油そば食いてぇ」

「久々に勝ったなぁ」

そんなことを言いつつ布団に潜った弟たち。

思い出し笑いをしながら戦いを振り返っている。

でもしばらくすると声が聞こえなくなる。

とっても幸せそうな寝顔だ。

僕は眠ろうかこのまま起きてようか迷っている。

楽しい夜だった。

歌でも作ろうか。

でも何にもしないで時間が過ぎるのもいいかもしれない。

一見何にもしないでいるように見える人も、心のなかではたくさんの事をしているんだ。

それにしても、時間は過ぎて行くな、まったく。

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